#172 55分カウンター席

仕 事

夜。

カウンター席。

ガラス越しに道ゆく人が思い思いの場所へ向かう様子をぼーっと眺めている。

「Brookiyn Parior」という店が見えるが、なんの店かはわからないし、調べもしない。

チューハイを片手に持ち歩くジャケットの40代男性が足早に目の前を通り過ぎる。

20代女性二人組が多い、彼女らはこの後どこに行くのか?

カラオケ?いや3密になるからそれはない。

目線の先のモニターには、映画の上映時間が映し出されている。

0.7のワタクシの視力では辛うじて「見えない」。

24:35〜?だけが点灯し、本日の最後の上映を知らせているようだ。

その少し上には大きな看板が見える。

「全世界5400万DL突破」の大人気ゲームが映画化されたらしい。

1席空けて右隣には若いカップルが座っている。

お洒落ジャケットで今風の髪型のたけし君(仮名)はスマホを触りながら女性と会話している。(スマホを触りながら話す場合はあまり興味がないか、長い付き合いのマンネリ夫婦?だ 注:個人調べ)

ところで、ワタクシは熱いコーヒーを飲んでいる。

ありがたいことにこの店は2杯目が100円になるサービスがあり、都会の綺麗な店内で仕事帰りに一人、道ゆく人を観察しながら1週間の疲れを癒すかのように眺めるのはそんなに悪くないことだ。

この人通りもあと2時間もしたら終電も近くなり少なくなるのだろうか。

今週はどうだったか思い出そうとしても脳がそうはさせてくれず、またひたすらに目の前の人通りを眺めるように仕向けられる。

ビジネスカジュアルな服装、リュックすがた、お洒落自転車でこの時間に走る50代男性はこの近くに住んでいるのだろうか?(もしそうだとしたらかなり裕福な人だろう。あるいは会社の社宅か)

目の前のガラスには反射して店内の様子がうっすら見える。

客層は女性が9割男性1割でワタクシ以外の男性は皆女性と同伴のカップル、つまりワタクシだけが一人客の男性のようだ。

いや、左の少し離れたところには男性二人客が見える…ん?そのうち一人はトートバックを肘にかけて女性のような持ち方をされいるようだ。

持ち方は好き好きだから何も言うまい。

「そろそろ当店は閉店となります。」

今、女性の店員さんからそう声をかけられた。

時計を見るとあと10分で閉店のようだ。

そろそろここを出て家にかえろう。

ここまで読んでくれたあなたに感謝する。

またあした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました